五糧液/ 不老長寿(その1)

 五糧液(ウゥリャンイェ)は、中国で最も有名な白酒(パイチュウ)です。実際、アメリカの会社が毎年発表している企業のブランド価値ランキングでは、数年前まで「五糧液」は中国企業の中ではダントツのナンバーワンブランドでした。現在は、ランキングでは家電メーカーやコンピューター会社に抜かれてはいるものの、お酒の世界では依然ナンバーワンブランドです。

 アルコール度数が50度以上もある四川省のお酒ですが、辛い料理や脂っこい料理との相性が良く、また独特の芳香は気分を良くしてくれるだけではなく、悪酔いの予防効果もあります。

 昔の有名な詩人が五糧液を称えて、「陶ずれど、酔わず」と評したとも言われています。

 因みに、原料にコウリャン、トウモロコシ、もち米、粳米、小麦の五つを用いることから「五糧液」と名付けられているそうです。

                                      

 週末topics〜不老長寿(その1)

 不老長寿というと、仙人や神仙術などあやしげなイメージもありますが、ここ数千年の間、漢方が一貫して求め続けていたテーマである事に間違いはありません。

 特に、歴代の皇帝や権力者が最も望むものも子孫繁栄(不妊治療)と不老長寿の二つです。古くは秦の始皇帝の命を受けて、不老不死の薬を求めて旅立った徐福の話しなども有名です。

 その後も、人間は如何にすれば長生きできるかという事は数千年にわたって研究が続けられてきましたが、現代の中医学では健康的に長生きするためには「補腎」と「活血」の二つが重要であるという結論に至っています。

 五臓六腑の中でも「腎」は「命門」とも呼ばれ、単に西洋医学で言う腎臓だけを指すのではなく、生命の根源物質ともいえる「精」という物質を蔵し、根本的に人間の生命活動を支えていると考えられています。(五臓六腑〜「腎」を参照)

 この「腎」の機能が低下していくという事が、即ち人間が老化していくという事であり、西洋医学的に腎臓病とかでなくても否応なく歳と共に「腎」は衰えていくと考えられており、この「腎」の衰えを少しでも遅らせることが長生きの第一歩であるとされ、このため中年以降になると「腎」を補う漢方薬などを「保健薬」として飲むというのが中国では一般的です。

 目安としては40代から穏やかな補腎薬と呼ばれるものを服用しはじめると効果的とされていますが、女性の場合は30代からお肌の美しさを保つ目的で補腎薬を服用しはじめる方が多いようです。

 ただし、補腎薬といっても体質に応じて様々なものがありますが、「薬」というより日本に於けるサプリメントやビタミンなどのように捉えられており、「病気」だから飲むのではなく、病気になったり、老化現象を遅らせる為に飲むものという認識が行き渡っています。

 中国などでは誰でも知っているこの「補腎」という概念ですが、西洋医学的な発想が擦り込まれた現代の日本人には理解しにくいようです。「薬は病気になったときに飲むもの」という考えは西洋医学の対症療法では正しくても、漢方には長生きするために、特に病気と言うことが無くても飲まれ続けているものがあると言うことです。

 具体的な処方に関しては、体質や腎虚の程度により多種多様な補腎薬が(処方)がありますが、食べ物に関して言えば中華料理で珍重されるフカヒレやナマコ、ツバメの巣などはすべてこの「補腎」という効果があります。

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