鹿茸 / 五臓六腑〜「腎」

 鹿茸はマンシュウジカなどの骨化していない幼角を乾燥させたもので、生命の根源物質である「精」を補う高貴薬として、古来珍重されてきました。

 中国の東北地方が主な産地で、ミンクに似た毛皮がとれる貂(てん)、薬用人参とともに東北三宝の一つに数えられています。

 鹿茸の薬効は「補真陽・益精血・強筋骨」「調衝任・固帯脈」で、人間の生命エネルギーを高め、筋骨を強めて老化を予防し、女性の方の更年期障害や、男女の不妊症にも用いられます。

 中国の薬膳では滋養強壮目的で、薄切りにした鹿茸を、スープの浮き身として用いたりします。

週末topics〜五臓六腑について(その5「腎」)

(5)「腎」について

 五臓の中でも「腎」は、「先天の本」とも「生命の根源」とも呼ばれるほど重要視されています。また、漢方でいう「腎」とは、単に腎臓のことではなく、泌尿生殖系、ホルモン系、カルシウム代謝、自律神経系、免疫系などを含みます。

すなわち、

・人体の成長・発育・生殖および生命活動を維持する為に必 要な「精」を貯蔵し、内分泌系全般の機能をコントロール
 する(免疫監視能にも深く関係している)

・人体の水分代謝をコントロールする

・骨や歯、骨髄などをコントロールする

・呼吸に関して、特に「吸気」をコントロールする

などの機能を持ち、耳および排尿と排便とも関連性が深く、更に漢方では「脳は髄の海」とよばれ事からも、脳とも関連しています。

臨床上では、

・成長の遅れや不妊症、精力減退

・内分泌(ホルモン)系の失調による疾患

・足腰の痛みや脳の老化、難聴、耳鳴り

・頻尿または尿量の減少

など多岐にわたります。また、「腎」は六腑の「膀胱」と表裏の関係ですが、「腰は腎の府」ともいい、「腎」の機能低下は、まず腰のだるさや痛みにあらわれやすいとされています。

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