杏仁/ 現代の「食」の問題点

   漢方の世界では「杏仁」と書いて「キョウニン」と読みますが、どういうわけか中華のデザートの定番である杏仁豆腐では「あんにん」と読まれています。(北京語ではシンレンになります)

 杏仁はアンズの外殻を取り除いた種子で、見た目はアーモンドにそっくりですが、噛んでみると香りは全く違って、杏仁豆腐独特の香りがします。

 写真は、北杏仁とも呼ばれるもので、主に漢方薬として用いられますが、杏仁豆腐などには甘みが強く形も平べったい南杏仁という種類の物も使われます。

 

週末topics~現代の「食」の問題点

 昨今、狂牛病問題や遺伝子組み換え作物から有機栽培、食品添加物など数え上げたらきりがないほど、毎日のように「食」に関する情報が氾濫していますが、漢方的な目から見た現代日本の「食」に関する問題点を挙げると

1.「食」の西洋化・・・高脂肪、高カロリーの動物性タンパク質、砂糖などの摂取量の増加→日本人に関して言えば長らく栄養失調気味だったものが栄養過多になっている。遺伝的に日本人の体は、動物性のタンパク質や脂肪分をうまく処理できないために、欧米人よりも生活習慣病になりやすい。このことは、米国の日系人における生活習慣病の罹患率の高さなどからも裏付けられています。

2.生冷過食・・・冷蔵庫の普及や、お水やお茶などのペットボトルの蔓延が、冷たい飲み物を日常的に摂ることが当たり前になってきて、胃腸を冷やしている。ちょっと前まではアイスコーヒーやビールは夏場だけのものだったことを考えると、これは冬場に於ける暖房の完備なども影響しているのかも知れませんが、ストーブで部屋は暖まっても胃の中は暖まりません。

3.微量栄養素・・・昔に比べて、野菜など見た目ばかり整っていますが、中に含まれるビタミン、ミネラルなどの微量栄養素の含有量はどんどん減少しています。まして、カット野菜や冷凍食品、ペットボトルに入った野菜ジュースなども、新鮮な素材に比べて大幅にビタミンや酵素などが失われています。

4.化学物質・・・農薬、ポストハーベスト、保存料、発色剤などの食品添加物、畜産品に含まれる抗生物質やホルモン剤など、「普通」の食生活をしている人でも1日に50?60種類もの化学物質を摂取していると言われています。また、遺伝子組み換え作物やマーガリンなどの人工食品とも言える本来は自然界に存在しない物の摂取なども問題です。

5.ストレス・・・これは、「食」には直接関係していませんが、「食」を受け入れる胃腸の機能に悪影響を与えます。いくらまともなものを食べても、胃腸がちゃんと機能しないと、正常な栄養の吸収と排泄ができません。2の「生冷過食」もやはり胃腸の熱量(=エネルギー)が奪われることが問題で、いくらビタミンやミネラル、タンパク質が豊富な食品を食べても胃腸が機能していなければ、体に吸収されません。

 以上挙げた事柄が、漢方的に見た「食」に関する問題点といえますが、フレンチやイタリアン、豪華な中華料理などもたまに食べるのであれば問題がないですが、「日常」の「食」に関しては、温かい伝統的な和食を食べるというのが日本人にとって健康の基本だと思います。

 (中華のブログで、何を言うとるんやと突っ込まれそうですが、漢方の大原則に「三因制宜」というのがありまして、簡単に言えば「季節」、「風土」、「人」によって体によい物は違ってくると言うことですが、日本で健康になろうと思えば、「伝統的な和食」が一番良いに決まっています。)

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