蟹肉伊麺/ 最近の風邪

 伊麺というのは、清朝の時代、揚州で役人をしていた伊さんが故郷の広東省に帰ってきて考案したと言われる麺で、伊府麺(伊さんの家の麺)とも呼ばれています。

 伊麺は小麦粉を水を使わず、卵だけで練って麺にし、油で揚げて作られる麺で、スープを含ませながら炒め煮にして食べられる事が多く、写真の蟹肉伊麺(はぁよっいぃみん)は蟹肉と野菜とともに炒め煮にしてあります。また、潮州料理などでは伊麺だけを煎り焼きにして、お酢と砂糖をかけて食べるという料理もあります。(実は、日清のチキンラーメンもこの伊麺を参考にして開発されたと言われています。)

週末topics〜最近の風邪

 めっきり寒くなってきましたが、ここ最近、のどがカラカラに渇いて、声が出にくいと言った症状の風邪がはやっているみたいです。

 空気が乾燥してくると、なぜ風邪がはやるのかという事について、風邪のウイルスが乾燥した空気にのって遠くまで飛散しやすいからだという話しを聞きますが、原因はそれだけではありません。

 まず、空気を吸うということ(呼吸)について考えてみますと、肺の中は温かくて湿っている(温度が37℃近くあって、湿度は100%に近い状態)のが普通というか健康な状態ですが、冬の外気というのは10℃以下で湿度もかなり低くなっています。

 すなわち、この乾燥かつ低温の空気を鼻から吸ってから肺に到達するまでの間に、我々の体はその空気をあたためるだけではなくて加湿しているわけです。それゆえ、無意識に呼吸をしているだけでも夏場よりも多くの熱エネルギーが必要となります。

 過労や不摂生で体力が低下すると、吸った空気を温められなくなって「発熱」するというのが風邪の発熱であるとも言われています。さて、ここから先は熱があるから解熱剤で熱を下げるというのが西洋医学で、体が冷えたことが原因だから体をあたためる処方(葛根湯など)を飲むというのが漢方治療です。

 また、最近はやっているのどの粘膜がカラカラに乾燥しているような場合は、粘膜に潤いをつける薬が必要になりますが、西洋医学にはそういう薬効のあるものがなく、うがい薬などの使用を考えますが、漢方薬には麦門冬湯やその名も潤肺糖漿(じゅんぱいとうしょう)というシロップ剤があって、粘膜が乾燥して声が出にくかったり、のどが痛んだり、または冷たい空気などを吸うと発作的に咳が出ると言った症状によく効きます。

関連記事

  1. 陳皮 / ストレスについて(その5)

  2. 前菜(豚たん/牡蛎の湯引き) / 漢方的正しい食養生(その1…

  3. 杭州老鴨湯/ 冬の頻尿

  4. イチゴのアイス/ 漢方的ダイエット(その1)

  5. 杏仁/ 現代の「食」の問題点

  6. 揚州炒飯/ 不老長寿(その2)