天津甘栗のアイス/ 「かぜ」について

 栗は日本でも縄文時代から食用にされ、重要なデンプン質の供給源でした。また、栗の木は原始的な石斧でも伐採しやすいことなどから、縄文時代の建築物は殆どが栗の木が使われていたそうです。

 栗は世界的に見て大きく3つの種類〜日本栗、中国栗、西洋栗〜にわかれるそうですが、天津甘栗で有名な中国栗は小粒ながら、甘みが強く、渋皮もとれやすいので人気があります。

 中国語で有名な言い回しに「天津栗は有名だけど、天津に栗の木はない」というのがありますが、貿易港で有名な天津から輸出されるので天津甘栗と呼ばれているだけで、天津では殆ど栗は収穫されないそうです。

 因みに栗の漢方的な薬効としては、胃腸や筋肉、関節などを丈夫にするとなっていますが、消化があまり良くないので食べ過ぎは禁物です。

週末topics〜「かぜ」について

 「かぜ」は漢字では「風邪」と書きますが、「風邪」とは漢方的には「ふうじゃ」と読み、漢方で言う「風邪(ふうじゃ)」とは、主に体の上半身に影響を与える急性で変化の激しい病邪を指します。よって、風邪(ふうじゃ)が原因で発生する疾患としては、かぜ以外にも関節痛や頭痛などもありますが、風邪(ふうじゃ)による疾患の中で最も多いということから、いつしか「かぜ」のことを指すようになったと思われます。

 漢方的に「かぜ」を考えると、風邪が寒邪を伴って(即ち「風寒の邪」)首筋などに張り付くことから始まります。(過労などで体力が低下している時に、邪を体に引きつけてしまうという事から、かぜを「引く」という言い方をします)この時、寒けがしたり、首筋や肩が冷やされることでこりが生じたりするというのが、一般的なかぜのひき始めの状態です。

 また、五臓の中でも体の一番上にあって、なおかつデリケートな「肺=呼吸器系」が影響を受けると、鼻水がでたり、のどが痛くなったりもします。

 こういった一般的なかぜについては、漢方的には体をあたためて体表部に張り付いた邪を汗と共に追い払うということをします。代表的な処方としては葛根湯が有名ですが、手元になければ生姜やネギをたっぷり入れたみそ汁や、熱いうどんにおろし生姜をたっぷり入れて食べるなどしても、ある程度の効果が期待できます。ただし、ポイントとしては「かぜかな?」と思ったら、一刻も早く対応することです。また、熱いうどんでも葛根湯でも服用した後、汗がうっすらと出てきたらすばやくふき取ることも重要ですが、対応が早ければ半日もしないうちに症状がなくなることもあります。

 対応が遅れると、どうなるかと言いますと、はじめ体表部に張り付いていた邪が体内にどんどん侵入してきて、口が苦いとか体が熱っぽいとか、胃腸がすっきりしないとか、夕方になると熱が出てくるという症状が出てきますが、この段階では柴胡桂枝湯という処方で体の中に入り込んだ邪を散らしていくという方法で対処する必要があります。(葛根湯の効能はあくまで体表部に張り付いている邪を追い払うというものですので、邪が体内に侵入してきた段階では効果は期待できません)

 また、同じかぜでもインフルエンザなどのように急に発熱して、のどもかなり痛くなるような場合は、天津感冒片銀翹散という清熱作用のある処方が用いられますし、普通のかぜでも、お年寄りや普段から胃腸が弱い方には葛根湯よりも参蘇飲(じんそいん)という処方が効果的です。

 (蛇足ながら、日本で繁用される葛根湯は、中国ではあまり売られていません。理由は、葛根湯で治るくらいのかぜは、早い段階で生姜などのたっぷり入ったスープなどを飲んで治してしまうからです。)

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