陳皮はみかんの皮を干したもので、古ければ古いほど良いという意味で「陳」皮と呼ばれています(「陳」は陳旧の「陳」)。漢方では「気」の流れを良くする「行気薬」に分類され、主な効能は「理気健脾」「燥湿化痰」で、ストレスによるお腹のつかえをとり、下痢や悪心、嘔吐を改善する目的で配合されます。
また、胃腸の調子が良くない状態が続くと水分代謝に影響して、痰なども発生しやすくなり、咳や痰が出やすくなりますが、そういった症状にも応用されます。
因みに、痰についていえば、漢方の考え方では脾胃(=胃腸)の機能低下から水分代謝に影響を及ぼし、処理できない水が固まったものを「痰」と呼び、肺にたまっていく(漢方では「肺」は「貯痰の器」といいます)と考えられており、痰がよく出る人は胃腸の機能を改善する事で治療できるとされています。
蛇足ながら、一般的に柑橘類というのは「気」の流れを良くする作用があって、ストレスがかかっている人ほど無意識にオレンジジュースやグレープフルーツジュースなどを好む傾向にあるようですが、冷たいジュースをガバガバ飲んでいると、胃腸が冷えて機能低下をおこし「痰」が発生して、この「痰」がまた「気」の流れを邪魔するという事にもなりかねませんので注意が必要です。
週末topics〜ストレスについて(その5)
今回は七情のうちで「驚」と「恐」についてです。漢方では「驚恐傷腎」といって、この二つのストレスは「腎」に影響を与えることになっています。
よく映画などでも「余りの恐怖」に「失禁」したといった場面が出てきたりしますが、この例など「驚恐傷腎」の一例といえます。
ただし、漢方の考え方では「腎」は腎臓機能のみならず、泌尿生殖系、ホルモン系、カルシウム代謝、自律神経系、免疫なども含み、「生命の根源」ともいわれるくらい重視されているところなので、失禁などといった一時的な問題だけでなく全身に影響が及びます。
よって「驚」「恐」というストレスが続くと、排尿障害、性機能の減退、足腰の痛み、耳鳴りや脱毛といった自覚症状が発生しやすくなり、ホルモンバランスや自律神経の失調、はては免疫の低下や異常など、人体に重大な影響を与えかねません。
食べ物では牡蛎やアサリ、海苔などは「腎」に起因する神経症状などに良いとされており、「腎」の機能低下にはナマコやエビ、ウナギなどのほかクルミ、松の実、黒豆、ゴマなどが良いとされています。
カウンセリング的には「驚」「恐」に対しては「思」で対応します。即ち、やみくもに恐れてばかりいる人に対してはあれこれ考えさせて恐れを取り除くというのが基本になります。