鯛の丸揚げ甘酢あんかけ / ウイルスから身を守るには

 宴席シリーズの最後は、鯛の丸揚げです。日本人にとって鯛はめでタイ魚ですが、中国では一般的に桂魚や鯉などの淡水魚を用います。歴史的に見ても中国の都は内陸部におかれている為、香港などを除けば海水魚に馴染みがないのもうなずけます。
 また、高温の油で2〜3回揚げてから甘酢のあんをかけるという手法も、淡水魚の泥臭さを消すためにあみ出された手法ともいわれています。

週末topics〜「ウイルスから身を守るには」

  インフルエンザやヘルペスといった疾患が増える季節ですが、漢方的にこれらの疾患を予防するにはどうすればよいかという事についてご紹介いたします。

 まず始めに、漢方では我々の体の皮膚や粘膜といった外界に直接接触する部分は目には見えない「衛気(えき)」と呼ばれる「気」によって守られていると考えられています。

 鼻の粘膜や口の中、胃や腸の粘膜、皮膚の面積は広げるとテニスコート1面半くらいの大きさになると言われていますが、これらの表面をウイルスなどから防「衛」しているのが「衛気」です。

 「ウイルスが原因で」発症するといっても、インフルエンザウイルスに接触すると誰もが発症するわけではなく、「衛気」がしっかりしている人は発症しないと考えられています。

 実際、かなりの痛みを伴うヘルペスの原因となるウイルス(ヘルペスウイルス)にしても日本人の成人の半数以上は体に持っているといわれています(常在菌)。ただヘルペスウイルス自体は非常に弱いウイルスであるため、健康な人であればウイルスが増殖できない為に発症しないだけです。

 同様に、職場で一人がインフルエンザにかかってもうつる、うつらないというのはその人の「衛気」の強さに左右されるわけです。ウイルス以外でも、花粉症という疾患を考えても同様の考え方で「衛気」の弱い人が花粉の刺激に過剰に反応して鼻水などが出るというのが漢方的な考え方になります。

 それでは、この「衛気」を強くするにはどうすればよいかというと、漢方では「気」の生成は「肺」「脾(胃腸)」「腎」の3つが関わっているとされていますが、生まれもって体が弱いとか肺の病気をもっているとかでなければ、胃腸を丈夫にすることが最も大事だとされています。

 このコーナーでも再三指摘してますように、冷たいものや生ものなどを摂りすぎると胃腸が冷やされ、むくみや貧血の原因になるだけでなく、「衛気」不足になって風邪をひきやすくなったり、花粉症の原因にもなります(花粉症についてはまたの機会に詳しく解説しますが、基本的には胃腸にだぶついた水(水飲)が花粉の刺激で鼻から溢れてくるという事です)。

 また唐辛子やお酒などの刺激物の過量摂取、ストレスなども胃腸機能を低下させますが、健康診断で胃の粘膜に異常がないと言われても、胃腸の「機能」が低下するという事が「衛気」の不足や免疫力の低下にもつながるというのが漢方の教えです。

 漢方薬としてはこの「衛気」を強める生薬としては黄耆(オウギ)が最も有名で、この黄耆を主成分にした玉屏風散(ぎょくへいふうさん)という処方が風邪やインフルエンザ、花粉症の予防に用いられます。(もちろん、普段から胃腸の調子が悪い人は、胃腸の調子を整える処方を服用するべきです。)

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