胡桃酪(クルミのお汁粉) / 漢方的正しい食養生(その2)

 写真は北京料理の冬のデザートとして名高いクルミのお汁粉です。

 クルミとナツメをすりつぶして、砂糖と水とともに煮込んだものですが、クルミの香ばしいかおりとまったりとした食感があって体も温もります。

クルミはペルシャが原産ともいわれていますが、日本でも縄文時代の遺跡から栽培されたクルミが出土しており、世界的に見ても人類が最も古くから口にしている木の実であるといわれています。

 漢方ではクルミは胡桃肉とよばれ、性味は甘温で補腎すなわち滋養強壮作用とともに肺にも効果あるとされています。具体的には腰や膝の痛みやだるさ、脳の老化防止から寒い時期になると咳がよくでるといった症状に用いられます。また、お肌を美しくしたりお通じをよくしたりする作用もあります。

 かの西太后も美容と老化予防にこのクルミのお汁粉を愛飲していたというのもうなずけます。

週末topics〜漢方的正しい食養生(その2)

 中国の人が日本に来てまず驚くのが、日本人が冬でも冷たい飲み物やデザートを口にしていることだそうです。

 その他にも火を通していない野菜や、おさしみなど生ものも日本人は好きですが、こういった食習慣を漢方では「生冷過食」といって胃腸の機能を損なう原因の一つに数えられています。

 人間の胃腸の中の温度は食べ物を消化吸収するために体温よりも高く、だいたい38度くらいはあるといわれています。冷蔵庫の温度は7度くらいですから、冷蔵庫の中からとりだしたペットボトルのお水を飲むということは、その水が尿として体外に出るまで、7度の水を30度以上温めた上に保温しておく必要があるわけです。(おしっこが冷たいままでるという人は別ですが・・・)つまりそれだけ胃腸に負担がかかる訳です。

 また生ものというのも、焼いたり煮たりするのに必要なガスコンロなどの熱エネルギーを自分の胃腸が負担することになります。

 漢方では胃腸の働きとして食べた物を消化してそこから体に必要な栄養素(=「」)を取り出す事と考えますが、「生冷過食」により胃腸が冷やされると、いくら体によい食べ物を食べても、その栄養を吸収できなくなって血の気が少なくなるばかりか体にとって不要なものだけがたまったり、水分代謝にも影響してむくみの原因になるとされています。

 普段から胃腸の調子が悪い方や血の気の少ない方、むくみやすい方などは、食べ物に含まれる栄養素やカロリーよりも食べ物の温度にもっと関心を向けられたほうが良いと思います。

 

 
 

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