「痛み」について

わかりやすい漢方講座(その14)~「痛み」について

 神経痛や腰痛、頭痛、生理痛など痛みの疾患というのは多いものです。また「痛み」は、それ自体がストレスとなって、ストレスがかかることで余計に痛く感じるという事もおこります(専門的な言い方では「痛みの閾値が低くなる」といった言い方をしますが、同じ刺激に対しても精神状態によって感じる痛さの程度が変化します)。

 ところで、漢方の考え方では「痛み」というのは、その場所を流れている「気」や「血」の流れが遮断されることによって生じると考えられています。これを「不通則痛」と言いますが、他には「不栄則痛」といって、流れるべき「気」や「血」の不足から、流れが悪くなって痛むというパターンもありますが、結局は気血の流れが滞ることが痛みの唯一の原因であると捉えています。

 「痛み」が発生する要因としては、外傷などを除けば、環境因子(六淫)、ストレス(七情)、過労、飲食の不摂生などのほか、臓腑の機能失調などが挙げられ、結果的に気血の流れが悪くなることで「痛み」が発生すると考えられています。

 痛みの疾患に関しては、どこが、いつから痛むのかというのは当たり前ですが、
・1日のうちで、どの時間帯に痛みが強くなるのか
・温めると楽になるのか
・雨の日に痛みが強くなるのか
・痛い場所をもんだりすると楽になるのか
・どのように痛むのか(シクシク痛む、鈍痛、張るように痛む、刺すように痛むなど、痛み方だけで細かく分けると30種類くらいの痛み方が挙げられています)

などが、痛みの原因を考える上で重要な要素になってきます。

 また、頭が痛いといっても、前頭部が痛いのか、側頭部が痛いのかで意味が違ってきますし、腹痛といってもおなかのどの部分(みぞおち、おへその周り、下腹部、太もものつけねあたり)が痛むのかでも意味が違ってきます。

 そのほか、その方の病歴や体質なども考慮して、痛みの原因を考え、適切な漢方処方が決められていきます。一概に何日で治るとは言えませんが、漢方薬でも即効性を期待できるパターンもあれば、老化など根本的な問題が絡んでいる場合はかなり時間がかかることもあります。

 頭痛や生理痛などで、痛くなったら鎮痛剤を服用するという事を繰り返しておられる方は多いと思いますが、痛みは一時的であっても、痛くなること自体、体が発している一つのシグナルですので、西洋医学的な検査で大したことがないといっても、放置しておくことで別の病気につながっていくこともありますし、適切な漢方治療を行うことで生理痛などが楽になるだけでなく、体全体の調子が良くなっていきます。

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