漢方から見た「美容」

わかりやすい漢方講座(46)〜漢方から見た「美容」

 最近は中国でも外資系の化粧品の売り上げが好調のようですが、漢方の考え方では美容はお肌(皮膚)そのものよりも、あくまで体の中の状態が整っていることが最も重要であると考えられています。

 日本国内でも次から次へと新しいスキンケア商品が発売されていますが、中医美容学とよばれる、漢方の考えを基礎にした美容学では、お肌や髪の毛の美しさは体内の「気」や「血」のほか、「肺」「脾胃」「腎」などの機能が正常にはたらいている事が絶対条件であると考えられています。

 特に、中医美容学で最も重視するのは、「血」が滞りなく「栄養物質」をお肌に送り届けることで、反対に言うと美容上の問題を抱えておられる方は、

・十分な量の「血」がない
・「血」の養分が足らない
・ストレスで「血」の流れが滞っている
・むくみなどにより「血」の栄養分がお肌に届かない

などの理由が考えられます。

 また、これらの問題点は美容上の問題だけでなく、「血の道症」とも呼ばれる生理不順や生理痛の発生要因ともなります。よく、生理痛や生理不順を漢方治療していくとお肌の状態も良くなったという話しを聞きますが、美容目的でも生理不順でも漢方的に見たときの病態が同じであれば基本的に同じ漢方処方が用いられます。

 例えば、肌荒れなどでお悩みの方で、冷え症、貧血気味、肩こりなどもお持ちの方は、それらの症状が改善しないままで、お肌の状態だけが良くなることはありませんし、また、貧血や肩こり、むくみといった状態が漢方薬で改善されれば、お肌のコンディションも間違いなく改善されます。

 さまざまなスキンケアを試したけど、効果がもう一つという方は「美容=外からのケア」という固定概念は捨てて、漢方薬で「体の中から美しくなる」という発想が必要です。

 

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