蓮の実の羊羹/ 「シワ」について

 
 蓮の実は、生薬としては「蓮肉(レンニク)」とか「蓮子(レンシ)」と呼ばれていますが、別名を「脾果」ともよばれており、「脾」(=胃腸)の機能を高めてくれます。

 具体的な薬効としては「健脾止瀉」〜胃腸が弱く、普段から軟便がちという状態を改善する、「養心安神」〜「心」(こころ)に栄養を与え、不眠などを改善する、「益腎固精」〜「腎」を強めて、老化現象を緩和するといった効能が知られています。

週末topics〜「シワ」について

 老化に伴って、避けられないのが「シワ」です。俗に言う「小じわ」から始まって、それがだんだんと深くなって、もとに戻らない深いシワとなっていきます。

 シワは、一般的には「額」→「眼瞼」→「目尻」→「耳前部」→「頬、頸部」→「あご、口のまわり」の順に発生します。

 いくら、老化現象で避けられないと言っても、漢方的には老化現象に深く関わる「腎」を強化して、お肌に「血」の潤いと栄養が十分に届くようにすることで、対処していきます。

 「シワ」に対処する方法としては、その方の体質に応じて大きく分けると3つのパターンがあります。

1.「補腎益精」〜老化防止に重点をおく

 西洋医学的に見て腎臓機能に異常が無くても、漢方の概念では老化=「」の老化(腎虚)で、「腎」のパワーを維持することが総ての老化現象を遅らせることになります。

 腎虚の症状としては、「腰やひざがだるい」「歩くとかかとの裏が痛い」「耳鳴りまたは難聴」「脱毛」「頻尿または尿量減少」「経血量の減少」などが挙げられますが、これらの症状を伴う場合は「腎虚」を改善する補腎薬と呼ばれる処方を服用することで、「シワ」にも有効な対処法となります。

 中国では、特に病気が無くても補腎薬を服用することで老化を遅らせ、お肌をきれいに保つという認識があって、20代も半ばを過ぎる頃から、日本におけるビタミン剤などのような感覚で、六味丸などの補腎薬が服用されています。

2.補血益気〜「血」を養い、「気」を補う

 お肌に十分な栄養が行き渡らなければ、「シワ」が発生する原因となります。また、漢方の考え方ではお肌(皮膚)に栄養を与えるのは「血」で、その「血」を体の隅々まで運ぶのが「気」のエネルギーであるということになっていますので、「気」のパワーが不足していたり、「血虚」とよばれる「血」の栄養不足状態は「シワ」の発生の大きな原因となります。

 このタイプの方は、普段から疲れやすい、顔色が良くない、立ちくらみがする、貧血気味、かぜを引きやすいなどの症状がおこりやすく、漢方的には「気」や「血」を補うことが必要とされ、当帰(とうき)や黄耆(おうぎ)という生薬
の配合された処方などが用いられます。

3.健脾益気〜胃腸の消化、吸収機能を高める

 漢方では、人間が生きていく上で最も重視するのが胃腸の消化吸収機能です。(もちろん、食べ物も重要です)

 西洋医学的には胃腸が悪いというと、すぐに潰瘍ややポリープなどを連想しますが、漢方が重視するのはあくまで、食べた物を十分に消化して、体に必要な栄養素を吸収して、不要なものを排泄するという機能です。

 この機能が弱いと、いくら栄養のあるものを食べても、体に必要な栄養素が素通りしたり、不要なものが体内に蓄積されたり、むくみやすくなったりします。結果として、お肌に必要な栄養が不足して、「シワ」が発生しやすくなりますが、このタイプの方は若いときから「シワ」に悩まされることが多くなります。

 食欲がない、食べた後に胃がもたれたり、眠くなる、季節の変わり目になると体調を崩す、顔や手がむくみやすいといった方は、健康診断で胃カメラの結果に問題が無くても、漢方的には「脾胃」の機能改善をすることで、これらの症状だけでなく、「シワ」にも効果が期待できます。

 

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