放射能から身を守るには(3)

 放射能の恐ろしいところは放射線を出すことで、この放射線が人体にどのように影響を与えるかというと、放射線が体内を通過する時に体内で活性酸素が発生し、遺伝子を損傷して発ガンなどの原因となることです。活性酸素の発生要因としては化学物質やストレスなど多くの要素がありますが、放射線は強力な作用があり、それゆえ恐れられているわけです。

 放射線の人体への影響に関する研究では、ガンに対する放射線治療などの放射線医療分野で正常細胞に対する放射線の影響を少なくする研究が行われてきており、培養細胞を用いた放射線照射の実験では、活性酸素を消去する作用のあるSODとよばれる酵素により発ガン性が抑えられたとの報告があります。また、このSODの効果は放射線を照射中でも、また、照射後であっても有効とされています。またSOD以外でも、活性酸素を消去する働き(抗酸化作用)のあるミネラルやポリフェノールにも放射線障害の影響を減少させる効果が期待できます。

 これらSODをはじめとして抗酸化作用のある成分を多く含む食品としては大麦若葉の青汁(SODのほか、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、フラボノイド、カロチノイドなどの抗酸化物質を含む)などが知られていますが、一般的な食品としては、有用な菌がいっぱいいる土壌で元気に育った野菜に多く含まれています(見た目だけ立派でも、化学肥料や農薬を多用したものや、温室栽培、工場栽培などの野菜はダメです)。

 漢方的な見地からは、これまでもガンなどで放射線治療の副作用こ対して様々な処方が用いられてきました。まずは放射線による活性酸素による酸化(言葉をかえれば“酸化”=“燃える”→人体から見れば“やけど”)の影響を軽減する目的で、西洋人参など補気と補陰の作用をもつもの、少し長期的な目で見れば骨髄の障害を予防する目的で補腎薬とよばれる処方などが有効とされています(個人的には、活性酸素の影響に対抗する最高の生薬は牛黄だと思っています)。

 また、放射線の影響を受けようと受けまいと、あくまで胃腸の健康状態を良好に保つことが重要になります。これは、胃腸の機能がきちんと働かなければ免疫力(腸管免疫)が十分に発揮できなくなりますし、栄養成分の消化と吸収がうまくいかなくなるほか、水分代謝に問題が生じれば気陰両虚とよばれる状態になりやすく、余計に参加されやすい体質となるからです。

 

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