先ごろ公表された平成22年版食育白書によると、20歳代~30歳代の若い世代での欠食率が極めて高く(20歳代男性では毎日1食以上抜く人の割合が23.8%)、また大学生では13.3%が朝食を殆ど食べないとの結果がでています。また、朝食を抜く理由として、「もっと寝ていたい」「身支度で忙しい」等の理由と共に「朝食を食べるのが面倒だから」「食欲がないから」という理由が上位に入っています。
更には、20歳代と30歳代の男性では「健康を維持するために1食の量とバランスが分かるか?」と聞いたところ、「分からない」と答えた割合が40%程度にも達しています(同じ年代の女性では約28%、全世代では26%程度)。
こういった現状では、いくら「バランスの良い食事をしましょう」と呼びかけても、何をもってバランスが良いというのかが分からないわけで、この世代の方々が親となった時のことを考えると恐ろしさすら感じますが、それだけに今後ますます食育が重要になってくると言えます。
また、夕食を開始する時間についても20歳代男性、30歳代男性と20歳代女性では「23時以降」の割合が高いことがわかった(3.8~6.8%、「21時以降」では20~30%にも及ぶ)とのことです。朝食を食べない人の割合も高いことを考えると空きっ腹をかかえて夕食をかけ込んで、すぐに寝る→胃腸に負担となるばかりか、ぐっすりと眠れない(胃腸の蠕動運動は筋肉運動でもあり、食べものを消化吸収するというのは意外と体力がいりますし、手足は動かしていなくても胃腸が活発に動いている状態で深くは眠れません)→朝起きても食べる気がしないという構図が想像されます。
こういった不適切な食習慣を続けていると、胃腸が丈夫なタイプの方は40代くらいになってメタボになりやすいと思いますが、一般的にはやがて胃腸機能が慢性的に低下して、食欲不振、食後のもたれや眠気、便通の異常や顔や手足がむくみやすくなるなどといった症状があらわれやすくなるばかりか、漢方的に考えるとアレルギー疾患や神経痛などの原因ともなります。
漢方の立場からこうした現状をみたとき、健康の基本である養生(もちろんその中核は食養生)がムチャクチャであるがゆえに病気になった場合、養生の部分の改善無しには効く薬も効かない(もしくは効きが悪くなる)といった事態が頻発するのではないかと危惧されます。