毎日新聞によりますと、現代の若者は「辛み」「苦み」を敬遠する傾向にあり、マイルドな味付けを好むようになってきたとのことです。
このため、特に20代の女性を中心に、すし店でさび抜きを注文する若者が増えたり、眠気覚ましのガムも強い刺激が苦手な若者が増え、マイルドな味にしたものが開発されるといった状況のようです。
マーケティング会社の実施した調査でも、苦みの強いビールや辛いカレーを好まない若い人達が多くなってきているという結果で、若い世代はゲームやインターネットをしながら飲食する「ながら飲食」の傾向が強いせいか、味への関心が薄らいで、味覚が未成熟な状態の人が増えているのではないかと分析しているそうです。
ちょっと前までは激辛ブームや濃い味のものが好まれる傾向がありましたが、いよいよ日本の若者は行き着くところまで「行ってしまった」ように思います。毎日新聞の記事の中にも、わさびやからしを好まない若者の意見として、香辛料をつけない方が素材そのものの味がわかるからというのが紹介されてましたが、一見、もっともな意見のようですが、今の日本の若者が素材の味がわかるのかという疑問と、それだけの素材のものを日常的に食べているのかと考えると、額面通りに受け取れません。
漢方的に分析すると、以前流行った激辛ブームというのは、ストレス社会で「気」の巡りが滞りがちな方が増えて、「発散」という作用のある辛いものを好む人が増えたと考えられますが、最近の「辛み」離れはストレスが少なくなったからと言うよりは、専門的には「気虚(ききょ)」と言いますが、流れるべき「気」のエネルギーそのものが少なくなってしまった為に、刺激物の発散作用によって「気」が無理矢理流されると「しんどくなってしまう」んだろうと考えられます。
基本的に香辛料や、香りの強い食材を嫌う方は、食べもの以外でも香水の匂いで気分が悪くなるとか、お肌が弱くて荒れたりかぶれたりしやすいといった特徴があります。また、「気虚の本態は脾気虚」とされ、五臓六腑では「脾」すなわち胃腸の機能が低下しており、簡単な言葉で表せば「脾弱」すなわち「ひよわ」ということです。
「ながら飲食」だけではなく、子どもの頃からの「生冷過食」をはじめとした食生活のゆがみが胃腸そのものの機能低下の直接の原因となっており、成長段階で「食の問題」→「胃腸機能低下」→「栄養物の吸収がうまくいかない」→「胃腸にも栄養が回らない」→「胃腸機能低下」という悪循環になって、記事の中のマーケット会社の分析にあるように「味覚が未成熟」というよりは、漢方的な意味で「胃腸機能が未成熟」な若者が増えていると考えられます。
また、この記事の中で歯医者さんが、若者のこういった味覚の問題は病気とは言えないとコメントされていますが、胃腸機能の低下は、食欲がないとか食後眠たくなるといった自覚症状だけの問題ではなく、貧血や血の道症のほか、花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息などの大きな要因となります。