有害物質から身を守る方法(2)

日本人のための食養生(10)〜有害物質から身を守る方法(2)

 前回は、食品中の添加物や農薬など有害な物質などが体に入ってきても、胃腸の機能がしっかり働いていれば、それを無毒化したり排泄したり出来る(反対に言えば、胃腸の状態が悪いと有害物質が体に蓄積されやすい)という事を書きましたが、何を食べるかという問題以外に日常の食生活の問題が原因となって胃腸機能が低下しているケースが多く見受けられます。

 それは食品添加物や農薬、化学肥料など存在しなかった大昔から漢方で「飲食不節」として挙げられていることで、以下のような食生活は胃腸機能を始め健康状態に悪影響を与えるとされています。

1.生冷過食・・・生ものや冷たいものは胃腸を冷やして、胃腸機能の低下を招きます。人類史上初めて各家庭に冷蔵庫があり、自動販売機が街中に点在している現状では1年を通じて冷たいものを摂取しているのが日本の現状です。また、「冷たいものは体に悪い」と何となく思っている方でも、「冷たいもの」と聞くと冷蔵庫から出したてのものや、氷の入ったものを想像されますが、本来の意味は「体温よりも低い温度」のものを「冷たいもの」と言います。胃腸を冷やすことは消化酵素が働かなくなるばかりか、人間の気力というか免疫力など漢方で言う「気」のエネルギーは陰陽で言えば「陽」の性格を持っていますので、漢方理論では冷やすことは直接、人間の機能低下や免疫力、自己治癒力を低下させます。

2.日によって、食事の時間がバラバラ・・・いくら3食のカロリーや栄養素に過不足がなく、温かいものを中心に食べていると言っても、日によって食事の時間がバラバラというのは想像以上に胃腸に負担になります。また、食事の量も理想を言えば朝は軽く、昼は十分に食べて、夜は少なめかつ寝る3時間前までには食事を終えるというのが理想です。

3.伝統食以外のものを食べる・・・日本人にとってはもちろん和食(お米を中心として野菜や海産物を副食にして味噌や醤油など)を食べるのが最も生物学的に理にかなっています。理由は、その土地でとれるものを先祖代々の調理方法で食べることに適合してきた(胃腸の消化酵素の活性などが最適化された)ものが適者生存の法則で世代を重ねていくからです。ですから、ある地域では長寿食や健康に良い食べ物だからといって、日本人が食べても同じように健康になるとは限らないばかりか、健康を損なうことも考えられます。

 以上に挙げた3つのことを守るだけで、言葉をかえるといちいち何を食べようかという事に悩まされなくても、胃腸を始め身体は健康になっていきます。

 

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