日本人のための食養生(2)〜一番簡単なダイエット
ダイエットの基本は、食事のカロリーを減らして運動をするという事につきますが、巷では様々な食材やサプリメント、特定保健食品が売られており漢方薬などもよく売れています。
特に最近は容姿を気にする若い人だけでなくメタボリックシンドロームの関連から中高年の方からもダイエットに注目が集まっていますが、1円もかからない誰でも手軽に出来るダイエット方法をご紹介します。
それは、食事の際に「よく噛んで食べる」という事です。戦後、日本人の食べ物は食物繊維が豊富な野菜、小魚などが減少し、あまり噛まなくても食べられる口当たりの良いやわらかな物にどんどんシフトしており、若い人の顎の形まで細くなってきました。更に、そういったあまり噛まずに食べる事が日常化したために、のどの通りがよい脂肪分の多い、噛まなくても味がする添加物だらけの加工食品が蔓延する原因にもなっています。
あまり噛まずに食べることは、それだけ胃腸における消化に負担がかかる事になり、漢方の考え方では胃腸に負担がかかると水分代謝機能に影響が出てむくみやすくなります。さらに胃腸から発生する「気」のエネルギー低下を引き起こし、食べ物から得られた栄養素を全身に運ぶ事が出来なくなり、これらの栄養素が有効に利用されなくなることで結果的に皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられていく要因となります。
よって、よくかんで食べる事で胃腸の負担を出来るだけ少なくすることは、むくみや脂肪の蓄積を防いでダイエットにつながるわけです。その他にも「よくかんで食べる」メリットのところにも書きましたが、よく噛むことは唾液の分泌を促進し食品中の発ガン物質を無毒化したり、若返りのホルモンと呼ばれるパロチンの分泌を促すなど様々なメリットもあります。
また、よくかんで食べてみるとすぐにわかりますが、添加物だらけの物や脂肪分の多いものは口の中が気持ち悪くなってきます。反対に野菜類や穀物、豆類はよく噛むことで自然な甘さが感じられますし、よく噛んだときにおいしいと感じられる食べ物こそが人間にとって本当に必要な食べ物でもあります。
因みにどれくらい噛めばよいかという事ですが、最低でも30回は噛む必要があります。ついでに言えば、人間の体にとって良い食べ物かどうかを見分けるポイントは30回噛んでおいしいと感じられること以外に、そのものを食べた後にのどが渇くかどうかです。
化学調味料や食品添加物、あるいは砂糖や天然ではない塩を多く含む食品は、ほぼ例外なく食べた後にのどが渇きます。のどが渇くということは唾液の分泌量も低下するわけですが、「活力」の「活」という字は「さんずいへん」に「舌」で唾液と言うことですので、唾液が減るような食品は活力も低下すると言うことです。