麻黄附子細辛湯

漢方処方解説(7)~麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)

 麻黄附子細辛湯の日本に於ける効能としては、「悪寒、微熱、低血圧で頭痛 めまいあり 四肢に疼痛あるもの。感冒 気管支炎 咳嗽」などとなっています。基本的に、冷え症で体力のない方のかぜの初期に用いるとされていますが、現代では花粉症に用いられることの多い処方です。また、漢方薬といえども体質改善ではなく、対症療法で用いられ、早ければ服用後10分以内に効果が実感されます。

 花粉症と「かぜ」は違うと思われるかもしれませんが、「かぜ」は漢字で「風邪」と書き、これを漢方的に読めば「ふうじゃ」で、六淫と呼ばれる身体に悪影響を与える環境因子の一つを指します~「風邪」=概念としては、「主に上半身に、突然影響を与えて、症状が遊走性である」という特徴を持っており、かぜやインフルエンザなどから、花粉症やじんましん、頭痛などの疾患の原因となるもの~。

 よって、漢方では「かぜ」も花粉症も共に「風邪(ふうじゃ)」によって発症するとされ、同じような処方が用いられます(尤も、昔は花粉症そのものが殆ど無かった訳ですが・・・)。

 さて、麻黄附子細辛湯は、身体の冷えが強く、普段から身体がだるいとか、すぐに横になりたがるといった体質の方に用いられますが、冷えているがために体内の「水」の巡りが悪いことで余分な水がたまりがちで、花粉などの風邪(ふうじゃ)の影響を受けて、痰の多い咳や、鼻水がでる方に用いられます。昔は体力の衰えたお年寄りに用いられることが多かった(といっても、極端に体力の低下している人には用いられません)のですが、現代人は過労や食生活の不摂生などで、身体の芯が冷えている人が多く、若い人でも麻黄附子細辛湯が合う人が増えてきています。

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