(引き続き、法善寺横町の正弁丹吾亭さんのメニューから)
冬瓜、里芋、鰹の炊き合わせです。夏のメニューらしく、ガラスのお鉢に冷菜として供されます。
さて、現代日本人の食生活の最大の問題点として挙げられる「生冷過食〜生ものや冷たいものの摂りすぎ」ですが、考えてみれば、もともと日本人の食事は伝統的に、さめても食べられるものが多かったという特徴があります。
理由は、主食のご飯(お米)は粘りけがあり、おにぎりなどの形でも食べられることと、おかず類も動物性の脂肪を含まないことが挙げられると思います(中国とは違って、幕の内弁当などのお弁当の文化があるのも日本食の特色のひとつです)。
こういった背景があったところへ、冷蔵庫が普及し、さらに自動販売機の缶飲料やペットボトルの普及により、抵抗感のないまま、人類史上に例を見ないほど、日常的に冷たいものを摂るようになったと考えられます。その結果、漢方的に考えますと、花粉症が国民病になったり、アトピーや喘息の多発、更には子供の背骨が曲がったり、骨折しやすくなったと考えられます。その他にも、胃腸が冷やされることで気の流れが停滞しがちになって、うつ病のひとつの要因にもなります。
これから暑くなってくると、体温を維持するための熱エネルギーが少なくてすむので、多少の冷たいものを摂るのは問題がないですが、冷たいものを食べるときは、おなかを温める作用のある生姜や、熱い汁物、お茶なども飲むようにして、冷たいものの「過食」にならないように気をつけることが重要です。