大いなる誤解(4)〜生理痛があるのは当たり前ではない
女性の生理に関しては同性同士でもあまり話題にされることはないと思いますが、漢方では「婦人にはまず経を問え」と言われるほど、いかなる疾患であっても女性にはまず生理の状態を聞くことが原則となっています。
これは、男性と違って女性の場合は体内の状態が生理に反映されることが多いためですが、生理の周期や痛みの有無、血の塊が含まれるかどうかなどは最低限把握しておく必要があります。
漢方の考え方では、女性の生理に関して「28日間かけて体中の余った血を子宮に集めてきて、妊娠の準備をし、妊娠しなかったらこれらの血を流す」と考えられていますが、この一連の血の流れがスムーズである限り、周期の乱れも、血塊が混じることも、痛み(生理痛)が発生することもありません。
よって、生理痛があるということはこの一連の血の流れに問題がある(古い言い方では血の道症)ことになり、放っておくことで更に痛みが強くなったり、子宮筋腫などへすすむこともあります。
生理痛に効くとされる鎮痛剤はテレビでも盛んにCMが流されていますが、「効くと治るは違う」わけで、対症療法に過ぎない鎮痛剤で生理痛が解消したからと言って、体の中の状態が改善されたわけではありません。
また、生理痛と一口に言っても、生理の開始時に痛むのか、後半に痛むのか、あるいは、おへその下が痛むのか、ふとももの付け根あたりの下腹が痛むのかで意味が違ってきますし、周期の乱れ方などもふまえたうえで、適切な漢方薬が決まります。また、適切な漢方薬を服用することで生理痛が解消した場合は、「血の道」の流れが良くなったと言うことであり、「血」の栄養分が関係するお肌や髪の毛の美容に関しても改善効果が期待できます。