沖縄の歴史を考えると、古くから中国や東南アジアとの海上貿易が盛んであったことや、琉球王朝では中国の皇帝の使いである冊封使の接待のために料理人を中国へ留学させたりしていた事などから、料理に関しては中国を始め、東南アジアの影響が見られます。
また、江戸時代には、薩摩との関係から、日本料理の影響が大きくなってきたそうですが、戦後はアメリカの食文化が流れ込んできて、沖縄料理に影響を与えています。
東南アジア、中国、日本、アメリカの様々な影響を受けてきた沖縄料理ですが、一貫しているのは体によいものを食べて健康を維持しようという、医食同源の思想が行き渡っていることです。
さて、前置きが長くなりましたが、写真の料理は沖縄料理のなかの「くすいむん」と呼ばれる「薬になる食べ物」の中でも、ポピュラーなイカ墨の汁です。
かつお節や塩漬けの豚肉などでダシをとった汁に、現地で「苦菜(んじゃなー)」と呼ばれるキク科の野菜(ビタミンなどが豊富で、胃にも良いと言われています)とイカの身を入れ、仕上げにイカ墨を加えて作るそうです。
沖縄では、イカ墨は体の中の悪い物を排泄する働きがあり、お産の後に食べると良いともいわれているそうです。その他、のぼせ症の方や、お酒のみなどにも良いメニューです。
イカ墨に関しては、最近の研究で、胃ガンや大腸ガンの発生を予防する働きがあることも示唆されていますし、見た目ほどクセもなく、食べやすいお味でした(ワイシャツに汁が飛び散るのさえ気をつければ、のハナシですが・・・)。