野菜の成長に必要な三大栄養素といえば窒素、リン、カリウムですが、化学肥料などで栄養過多になった野菜には、窒素が硝酸塩の形で残留し、これが体内で亜硝酸となり、アミンと反応して、発ガンとの関連性が指摘されているニトロソアミンが形成されるといわれています。
これは化学肥料に限らず、有機栽培された野菜においても同じ事で、栄養が豊富な土壌で栽培されても野菜の中に硝酸塩が増えるとされています。このため、有機野菜だからといって安全とは限らないという意見もありますが、最近の研究によれば別の見方が浮上してきています。
すなわち、野菜の中にビタミンCやポリフェノールが豊富に含まれていれば、亜硝酸がこれらと反応して一酸化窒素が発生するというものです。一酸化窒素は血管を拡張する働きがあり、簡単にいうと血液サラサラ効果があります。特に血液の大半が存在する毛細血管における血流が改善することは、脳や腎臓や目といった細い血管が特に多く存在する場所で老化予防効果に直結します。
このような毛細血管を拡張して血流を改善する作用というのは、生薬では丹参(たんじん)に認められていますが、化学薬品には存在しません(病院で処方される血液サラサラ効果があるといわれるものは、単に血液が凝固しないようにするだけで、毛細血管の血流を改善するものではありません)。
よって、化学肥料であれ有機栽培であれ野菜に硝酸塩が残留したとしても、同時にビタミンCやポリフェノールが豊富に含まれている場合は、有害な作用よりも健康効果が期待できるというわけです。ついでに言っておくと、同じ有機栽培であっても野菜に含まれるビタミンなどの有用成分は本来の旬の時期に栽培されたものの方が多くなります。
結局のところ、旬の時期に有機物を多く含む土壌で栽培された野菜がからだに良いという当たり前のはなしですが、人体にせよ植物にせよ、一つの成分だけをとりあげて良い悪いを論じることはあまり意味がないということです。