報道によると、サフランに含まれる黄色の色素成分、クロシンに大腸の炎症を抑えると共に大腸がんの抑制効果があることがマウスを使った実験で確認されたとのことです。東海中央病院や長崎国際大学薬学部などの研究グループによる成果で、今月下旬の日本がん予防学会で発表されました。
サフランは地中海地域原産とされ、ヨーロッパ~地中海沿岸では紀元前より染料や香辛料として利用されてきました。現代では、パエリアやブイヤベース、サフランライスなど料理に用いられることで一般に知られています。
漢方では、サフランのことを紅花に似た外観から番紅花または蔵紅花と呼び、血の流れの滞りを除いて流れを良くする作用は紅花よりも強く、更に紅花には無い作用としてサフランには解鬱安神~精神安定作用があるとされています。
日本に於ける研究では、これまでにもサフランに含まれる成分に強い抗酸化作用が認められているほか、体内で抗酸化活性を有するグルタチオンの産生量を増加させる作用などから、動脈硬化や認知症の予防にも有効であることが示唆されてきました。
今回の学会での発表は、サフランには大腸の炎症を鎮める作用もあるとのことで、これまで知られてきた精神安定作用のほかにセカンドブレインとも称される腸のコンディションを良くすることで、脳腸相関の関係から解鬱作用にもつながっているような気がします(※)。
(※)西洋医学でも近年、腸のコンディションがストレートに脳に影響を与え情動を左右することがわかってきましたし、漢方では本能的な感覚と感情を担っているとされる“魄(はく)”は大腸と表裏の関係にある“肺”に在るとされ、意識レベルまで到達しないような軽微なことであっても、本能的に感じる心地よさや不快感は腸(魄)が認識して精神状態にも影響しうると考えられます。