一昨日の低気圧は正に春の嵐そのものでした。五行説でも春は「風」と関連性があるとされていますが、いきなりの強風には驚かされました。
ところで、漢方の考え方では身体の中でも風が吹くとされています。もちろん実際にヒューヒューと音を立てて風が吹くわけではないのですが、急にまぶたがピクピクするとか緊張して手が震えて字が書けないといった症状は、あたかもからだの中で風が吹いて木の葉が揺れるように筋肉が震えることから内風(ないふう)と呼ばれています。その他、頭がふらつくとか、めまいなども内風から生じることがあります。
内風が発生する原因としては感染症で高熱が出たときなどのほか、多くは五臓六腑の肝の陰陽が失調して発生するとされています(肝風内動)。その原因としては老化や貧血、過労などですが、肝は自律神経と関係が深いため、精神的なストレスが背景にあることが多いです。また、内風の症状が発生すると、その症状自体がストレスとなり、更に内風が発生しやすくなったりもします。
漢方薬としては、内風を抑える熄風作用のある処方が用いられますが、体質改善としては五臓六腑の肝の状態を整える処方が中心になります。蛇足ながら、同じような内風の症状であっても、その人の体質や内風の発生原因によって用いられる処方は異なります。