今朝のテレビでやっていましたが、今年は例年よりも夏かぜが流行しているようです。原因としては、高温多湿の状態が続いて夏かぜの原因となるウイルスが増殖しやすい環境であることと、暑さでクーラーをかけっぱなしにしていること、暑い屋外とクーラーのきいた所を行き来することで、からだが順応せずに体力や免疫力の低下につながることなどが挙げられていました。
実際に異常とも言えるこの暑さでクーラーをいれないわけにも行かないと思いますが、漢方的に見た場合、体のだるさと共に吐き気や下痢を伴う夏かぜ(ウイルス性胃腸炎)の大きな原因は、発汗過多で汗と共に体内の“気”(言葉をかえれば免疫力です)が漏れ出すことと、水分補給の際に冷たい水分を摂りすぎて“気”の主な発生源である胃腸を冷やしすぎることです。また、おなかを冷やすと腸内の細菌バランスが悪玉菌優位になりやすく、ウイルス性胃腸炎に感染しやすくなるという側面もあります。
熱中症予防のためにも水分補給(特に高齢者では、陰虚といって水分保持能力が低下していますので、こまめな水分補給が必要になります)は必要ですが、暑いからと言って冷蔵庫から出したてのものや氷の入った水分ばかり摂っていることが夏かぜに直結しているように思います。なんせ、夏の暑い時期に現代ほど冷たいものを手軽に摂れるようになったのは人類史上初めてのことで、冷たすぎるものの過剰摂取に対して胃腸を始めとするからだの調整能力が追いつかないということだと思います。
また、もし夏かぜのような症状が出たら、暑い時期には、発汗作用のある麻黄湯や葛根湯よりも、夏かぜ専門といっても良いような「かっ香正気散」という処方がお勧めです。