わかりやすい漢方講座(43)~鼻で呼吸をしていますか
誰も好きこのんで口で呼吸をしていますという人は居ないと思いますが、蓄膿症や花粉症などでなくても年中鼻が詰まりやすいとか、朝起きたときに口の中がカラカラになっているという方は意外と多いものです。(哺乳動物の中でも口で呼吸することができるのは人間だけで、これは言葉を話すようになったからだと言われています。)
では、口で呼吸することがなぜ体に悪いのかというと、鼻腔を通過しない空気は気管支や肺にダメージをあたえやすいことと、のどにある扁桃(ワルダイエル扁桃輪)のM細胞から好気性菌が取り込まれて体内を巡ることで、細胞のミトコンドリアが必要とする酸素が不足したり、感染症が誘発されたりしやすくなるからだと言われています。(鼻で空気を吸った場合は、空気が鼻腔内の繊毛や副鼻腔を通過する際に、温度と湿度を調整するだけでなく、細菌も除去されます)。
ところで、カゼを引いたりアレルギー性鼻炎や蓄膿症でもないのに鼻が詰まったり、鼻水がでる原因として漢方では気虚(衛気不足)、肺腎両虚、腎虚などのほか、慢性的なストレスでも鼻はつまりやすくなると考えられています。また、これらの原因によって口呼吸をする事が更に肺にダメージを与えて呼吸器疾患の原因ともなります。
また、肺にダメージがあたえられると呼吸器疾患だけでなく、漢方では「肺は皮毛をつかさどる」とされていますので、皮膚疾患(じんましんやアトピー)の要因ともなりますし、「肺は気の本」であり全身を巡る「気」に影響が及ぶと、様々な神経性の疾患にもつながりかねないです。
ちょっと鼻の調子が悪いと言うだけでは、とりたてて病気というほどの事もなく放置しがちですが、鼻のつまりが口呼吸を誘発し、口呼吸が更なる疾患の原因となるということですが、「ちょっと鼻の調子が悪い」のを改善するには漢方薬が最も適していると思います。