わかりやすい漢方講座(35)~ドライアイについて
ドライアイは、涙の分泌量が不足して起こる症状ですが、放っておくと目の表面の粘膜が傷つきやすくなります。疲れ目やかすみ目といった一般的な症状と違って、ドライアイは男性よりも、女性に多く見られ、特に30代後半以降の女性に多いとされています。
パソコンの普及や、コンタクトレンズの装着などのほか、特に女性に多い原因としては、30代後半以降、更年期を前にして、女性ホルモンのバランスが乱れやすくなる事などが指摘されています。
これを、漢方的に考えた場合は、更年期というのは「腎陰虚」として捉えますが、人間の体の水源とも言える「腎」の陰分=水が枯れることによって、体の潤いがなくなっていくと捉えます。また、五行説では、前回も書きましたが、目とつながりの深い「肝」は「木」の性格を持っており、「腎」の水分が枯れていくことにより、「木」も枯れてしまい、このことがドライアイの一つの原因にもなっていると考えられます。
こう言うと、水が足りなくなるのならじゃんじゃん水を飲めばいいのではないかと思われるかも知れませんが、体にとって必要な形の水分(血液とか消化液、細胞を構成している水分など)は、いくら水を飲んでも増えません。それどころか、胃腸を冷やすことで、むくみや免疫力の低下などを起こしかねません。
では、どうすれば良いかというと、「体に必要な潤いをつける作用のある漢方薬」を服用する事で対処します。特にドライアイに関しては、クコの実や菊の花が入った杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)という処方が有名で、専門的に言うと「肝腎陰虚」の改善、簡単に言えば、中年以降、減少しがちな体に必要な潤いを増やしつつ、特に目の症状を改善してくれるという作用があります。
また、杞菊地黄丸の良いところは、ブルーベリーなどと違って、目の症状だけでなく、「めまい」や「むくみ」といった症状にも効くという事で、更年期を迎える前から服用することで、アンチエイジング効果も期待できます。