わかりやすい漢方講座(その23)~お腹にくる風邪
今年は例年よりも暖かくて風邪を引いている人をあまり見かけませんでしたが、吐き下しを伴う風邪ははやっているようです。
ノロウイルスによるものも含まれているかも知れませんが、ウイルス性の腸炎というか、簡単に言えば「お腹にくる風邪」ということです。症状としては、発熱以外に下痢や嘔吐を伴うことが特徴です。
漢方では、下痢や嘔吐というのは「湿邪」が原因と考えられますので、この湿邪を取り除くという作用のあるカッコウ正気散という処方が用いられます。この処方が最もよく使われるのは夏風邪ですが、季節がいつであれ吐き下しの風邪の基本処方となります。ただし、発熱が強ければこの処方に加えて、天津感冒片や銀翹散という処方を併用することもあります。
風邪薬として一般にも有名になった葛根湯は、原典である傷寒論によれば下痢を伴う風邪にも用いられますが、吐き下しを伴うような場合はあまり効果が期待できません。
また、このような「お腹にくる風邪」を防ぐには、普段から胃腸を冷やさないように心がける事が重要で、胃腸が丈夫で有ればウイルスがお腹に入っても症状は軽くて済みます。