わかりやすい漢方講座(その16)~季節の変わり目
朝夕は結構涼しくなって、一年で一番暑い夏から秋へ季節が変わりつつあります。ところで、毎年この時期になると体調を崩しやすいという方がおられますが、そういった方を漢方的に分析しますと、まず言えることは胃腸機能が弱いと言うことです(陰陽五行説によると、季節の変わり目=土用で、五臓では「脾」(=胃腸)に相当します)。
また、胃腸の機能が弱いということは、「気」のエネルギーが少ないと言うこと(漢方で言う「気虚」)であり、疲れやすいということだけでなく言葉を換えれば、体の防御力が弱い(漢方で言う「衛気虚」)ということにつながり、これにより、風邪を引きやすかったり、花粉症になりやすくなります。(そもそも風邪を引くというのは、風邪のウイルスが問題ではなく、防御力が弱くて、それ(風邪)を体内に「引いて」しまう事に問題があるというのが漢方の考え方です。)
ではそのような方(「気虚」の方)が、日常一番気をつけなくてはいけないことは何かというと、「体を温める」ことと「冷たい飲み物、食べ物を控える」ということです。陰陽で言う「気」は「陽」ですので、冷やすと言うことは即ち「気」のエネルギーがますます低下すると言うことになります(冬場に風邪がはやるのは、温度が低下して「気」のエネルギーが低下するためです)。
特に、現在の日本では「飲み物」=「ペットボトル」=「冷たい」という図式が出来上がっており、普通の食生活と思っていても、人類の長い歴史から見れば異常なほど「生冷過食」と呼べる状態ですので、注意が必要です。(花粉症が国民病といえるくらい蔓延している原因のひとつが、この「生冷過食」です。)