高脂血症

わかりやすい漢方講座(その15)~高脂血症

 ここ最近、メタボリックシンドロームなる言葉があちこちで聞かれるようになりましたが、飽食の時代といわれて数十年、様々な生活習慣病の原因となる高脂血症は大きな問題となっています。

 高脂血症の原因としては、イメージ的には食事の欧米化から、脂肪分や高カロリーな食事が原因と思われますが、根本的な原因は、胃腸機能の低下(漢方では「脾気虚(ひききょ)」)です。

 もちろん、胃腸の機能低下の原因のひとつとして脂こい食事というのは挙げられますが、その他の要因としては
・日本は湿気が多く、漢方理論では環境の湿気は胃腸の機能低下を起こします
・ストレスの影響で胃腸の機能が低下する
・冷たいものの過剰摂取で胃腸の機能が低下する

などの要因が挙げられます。

 漢方理論では、胃腸の機能低下は、栄養物の代謝に影響を与え、同じ食事内容でも、胃腸機能が低下すると体にとって不要な中性脂肪やコレステロールが溜まりやすくなります。

 同様に、甘い物をあまり摂らないのに血糖値が上がると言った境界型糖尿病と呼ばれるケースでも、漢方的に分析すると胃腸機能の低下が原因となっていることが多く見受けられます。

 ここで問題になるのは、胃腸の機能が低下しているかどうかと言うのはバリウム検査や胃の内視鏡ではわからないということです。

 漢方では、胃腸の機能低下状態である「脾気虚(ひききょ)」の診断基準として、
・「おなかがすいたー」というような健康的な空腹感がない
・食事の後に「眠たくなる」または「胃のあたりがぽっこりとでっぱる」ような気がする
・便通に関して軟便気味である
・季節の変わり目に体調を崩しやすい
などを挙げていますが、これらの条件に当てはまる方で、高脂血症や境界型の糖尿病を指摘されている方は、血糖降下剤やコレステロール低下剤を服用する前に、まず胃腸機能を改善する事をお勧めします。

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