杏仁はアンズの種で、見た目はアーモンドに似ています(実際、中国のアンズの産地などでは杏仁を油で揚げて、そのまま食べたりもするようです)。「杏仁豆腐」と書けば「アンニンドウフ」と読みますが、生薬としては「杏仁」は「キョウニン」と読み、咳止め(麻杏甘石湯)や乾燥性の便秘(麻子仁丸)に用いられます。また、西洋医学でも咳止めとして用いられるキョウニン水の原料でもあります。
杏仁は独特の芳香がありますが、苦みも強く、このため中華料理などには南方でとれる甜杏仁または南杏仁と呼ばれる甘みが強い品種が使われることが多いですが、独特の芳香や生薬としての薬効は劣ります。
ところで、数年前に日本の家庭用品メーカーが、女性が不快に感じる男性の体臭に対してキョウニンエキスに抑制効果があるとして特許申請したそうです。男性のアポクリン線から分泌された物質が皮膚の常在菌の作用で臭くなるのを抑制するとの事です。