(東京は吉祥寺の「知味竹爐山房」さんのメニューから)
「乾焼明蝦(ガンシャオミンシァ)」は日本でもポピュラーな「エビチリ」の原形とも言えるもので、中国の勃海から黄海に棲息する大正海老を用いた山東料理(北京料理)の名菜です。
大正海老はエビの中でもエビ味噌部分が多いのが特徴で、炒めているうちにエビ味噌部分と一味唐辛子が絡み合って独特の色合いと風味が生まれます。残念ながら大正海老の漁獲量が激減したため、普通のエビにトマトソースやチリソースで味付けした「エビチリ」の方が一般的になりましたが、この「乾焼明蝦」こそが「エビチリ」のオリジンと言えます。
因みに、エビの上に載っているのは鶏卵で、一味唐辛子の辛さが和らぐと共に、エビ味噌の風味と絡まることによって、カニミソ(蟹黄)のような味わいが生まれます(注:本来の乾焼明蝦には玉子は入りませんが、エビチリに玉子を絡ませるというのは、あの陳建民さんが日本人向けに考案したそうです)。