蒸し鶏と胡瓜の四川ソース

 四川料理の特徴は「麻辣(マーラー)」で、「麻」とは中国山椒(花椒)のもつ「しびれる」という味で、「辣」は辣油(らーゆ)の「辣」で辛いという意味で、山椒と唐辛子の組み合わせに特色があります(因みに日本でもお馴染みの「麻婆豆腐(まーぼーどうふ)」の「麻」は「あばた」の意味で、「麻婆」とは「あばた面のお婆さん」が作った豆腐料理という意味です)。

 歴史的に考えると、中国山椒のことを「蜀椒」とも言うくらいですので(今の四川省は三國志の時代の「蜀」の国)、もともと四川では山椒がよく使われていたと思われます。そこに後から入ってきた唐辛子が組み合わされて、現在の四川料理を形成していったわけです。「唐」辛子と書くからと言って、唐辛子は中国原産ではなくて、アメリカ大陸が原産です。

 唐辛子の歴史は、新大陸の発見と共に15世紀末にヨーロッパに渡り、日本には16世紀中には伝来し、中国に渡るのは17世紀になってからという事です。意外かも知れませんが、中華料理に唐辛子が使われるようになったのは、それ以降の話しで、麻婆豆腐に至っては、その歴史は百数十年しかありません。

 因みに山椒は生薬としても用いられており、基本的にはおなかを温めて、冷えによる腹痛などに効果がありますが、花粉症で鼻水がタラタラ流れ出るときに、山椒の粉をなめると症状が軽減することがあります。

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