貝柱の湯引き(柚子ソース)

 柚子はミカン科ミカン属で、果皮というか皮の部分の香りが特徴です。冬至の柚子湯、お鍋に欠かせないポン酢の原料、九州の柚子胡椒、韓国の柚子茶など、様々なところで使われています。

 一般的に柑橘類の果汁にはビタミンCやクエン酸などが含まれており、野菜の少なくなる冬場の貴重な栄養源ですが、漢方薬としては、ミカン属の果皮を乾燥させたものは陳皮(ちんぴ)や橘皮(きっぴ)と呼ばれ、「気」の流れを良くすることで胃腸機能を整えるという薬効があります。

 ストレスの影響で「気」の流れが悪くなると、無意識のうちに唐辛子など「辛い」味のものを欲するようになりますが、もともと胃腸が弱い日本人には刺激が強すぎたりします。確かに、薬膳的に考えても「辛い」という味には「発散」という働きがあるのですが、ハッカやミント類、また柑橘類の皮の部分も薬膳的には「辛い」という味に分類されます。

 唐辛子などが大好きで、それでも胃腸が丈夫というのなら問題有りませんが、ストレスで胃腸の調子も悪くなりがちなところへ唐辛子類のような刺激の強いものを過食すると、更に胃腸の機能が低下して様々な疾患の原因ともなりますので、薄荷やミント類、柑橘類を多めに摂るようにされる方が健康には良いです。

 ハッカやミント、柑橘類が「気」の流れを良くすると言ってもわかりにくいかも知れませんが、香水やオーデコロンの香りで「気持ちよくなる」のと同じ事で、良い香りのするものは「気」の流れを良くしてくれると言うことです。西洋ではアロマテラピーという言い方がされますが、漢方の世界ではミカンの皮(陳皮)などは、「行気薬」と言って、字の通り「気」の流れを良くするという薬効に分類されています。

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