野沢菜は長野特産のアブラナ科の野菜で、主に漬物にされますが、中国では野沢菜と同じくアブラナ科の野菜で、雪の中でも育つと言うことから雪里紅(シュェリィホン)または雪菜(シュェツァイ)と呼ばれる野菜があり、やはり漬物として料理に用いられます(見た目も味も野沢菜そっくりで、写真の料理も本来は雪菜が用いられます)。ただし、雪菜は写真のような和え物だけでなく、スープや炒めものにも、酸味のある「漬物」の状態で用いられます。
さて、日本ではようやく牛乳や乳製品の弊害が認識されてきたのか、最近は植物性乳酸菌の飲料などがヒットしているようですが、「植物性乳酸菌」といえば、簡単に言えば「漬物」に含まれる乳酸菌と同じようなもので、漬物を食べれば済むことなのですが、これがまた、日本のスーパーなどで売られている漬け物は、薬液につけただけの即席の「漬物」が主流となっており、本物の、即ち乳酸菌発酵の漬物を探すのに苦労するほどですので、健康飲料のような形で摂取せざるを得ないのかなとも思います。
ついでに言えば、腸内細菌を乳酸菌などの善玉菌だらけにしようと思えば、乳酸菌などの善玉菌を摂取するのではなく、ウエルシュ菌などの悪玉菌を減らしても、結果的には善玉菌が増えていきます。では、この目的(腸内の悪玉菌を殺菌する)で伝統的に食べられてきたものは何かというと、梅干しや梅肉エキスです。
要するに、日本の伝統的な食材である漬物と梅干し(付け加えるなら、繊維質の多い玄米)は、日本人の体というか腸内細菌バランスを良くするのに極めて有効であった訳ですが、食事が欧米化して漬け物などが食べられなくなった結果、便秘症の増大や、腸内細菌バランスが崩れていって、様々な疾患の原因ともなっているというのが日本の現状です。
今から30年前(1977年)に、アメリカで増大する生活習慣病対策としてどういった食生活が有効かという研究がなされて、最終的に上院の栄養問題特別委員会は、生活習慣病を防ぐには伝統的な日本料理が最も有効であると発表しています。これはマクガバンレポートと呼ばれていますが、当時は、まだ日本人の食生活も今ほど欧米化していなかったせいか、「おもしろいお話し」程度で聞き流されたのかも知れませんが、現代において、今一度よーく考えるべき事だと思います。