中華で普通に「肉」と言えば、豚肉のことですが、1万年以上前から家畜化されていた豚は中華には欠かせない食材です。実際、全世界で飼われている豚の4割程度は中国で飼われているという統計もあります。
また、アメリカといえば牛肉を連想しますが、アメリカにおいて牛肉の消費量が豚肉の消費量を上回るようになったのは20世紀の半ば以降のことです。もっとも、宗教的にはユダヤ教、イスラム教において豚は食べてはいけないとされていますし、歴史的には、豚は農耕民族の家畜であって、遊牧民族には馴染みのない食材でもあります。
日本でも一人当たりの食肉の消費量から見ると豚肉がトップで、以下鶏肉、牛肉と続きます。豚肉の部位で見ると日本ではヒレ肉が好まれますが、中華ではバラ肉、スネ肉などゼラチン質の多い部位が好まれるという違いがあります。
また、日本で食べている限り実感が湧かないのですが、中国で豚肉を食べると、肉の臭みが結構強いため、どうしても香辛料をきかせた煮込みや、炒め物になりがちで、トンカツや豚シャブといった料理は少なくなります。