担々麺

 四川料理というより四川の小吃(シャオチー)=ファーストフードの代表的な存在である担々麺ですが、四川省に登場したのは19世紀の半ば頃と言われています。

 日本で「担々麺(タンタンメン)」と言えば、スープがたっぷり入ったものが主流?ですが、本来は天秤棒に「担(かつ)」いで売り歩いたことから、担々麺と呼ばれるようになったもので、少々揺れてもこぼれないような汁気の少ないものでした。(もっとも、人気が出るにつれて、店舗でも販売されるようになって、それにつれてスープの量も増えていったそうです)

 さて、四川料理は辛いというイメージがありますが、唐辛子の辛さ以外に、欠かせないのが中国山椒の麻(マー)=しびれるという味です。山椒にはお腹の冷えをとる作用の他、「燥湿」作用があって、体にこもった湿気をはらってくれます。四川盆地は湿気が高く、それゆえ山椒が多用されるようになったと思われます。(因みに唐辛子は南米原産で、中国に伝わったのは17世紀になってからで、それ以前から四川料理の薬味の中心は山椒でした。中国山椒のことを蜀椒ともいうのは、蜀の国(三國志時代の国名)の山椒という意味です。)

 ついでに言うと、湿気というのは胃腸の機能を低下させるだけでなく、「気」の流れを悪くして、体が重だるく感じたり、神経痛の原因ともなります。よって、山椒などで「燥湿」する必要があるわけですが、胃腸の弱い日本人にとっては刺激が強すぎて大量に摂ると、おなかをこわしてしまいます。

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