開水白菜(白菜の芯のスープ)


 今年は台風の影響で値段が高くなっている白菜ですが、鍋物の季節になくてはならない野菜です。北京などでも冬の野菜といえば白菜で、餃子の具からスープ、炒め物までごくありふれた野菜といえます。

 前置きが長くなりましたが、写真の料理は白菜の芯の部分だけを鶏や豚肉、中国ハムなどでとったスープに入れて蒸し上げるというだけの料理ですが、れっきとした宮廷料理として名高い一品です。

 この料理は清朝の時代、四川省で最も名高い料理人が北京の宮廷に招かれ、宴席用に考案したと言われるものですが料理人と共に四川省でも広まり、四川料理の名菜として有名です。

 日本では白菜の芯はどちらかといえば値打ちのない部分のように考えられていますが、中国の考え方では芯の部分こそこれから成長してくための生命エネルギーが最も充実している場所であるという事で尊ばれています。

 実際にこの料理を食べてもわかることですが、長時間スープの中で蒸された白菜の芯は、普段食べている白菜と同じ野菜とは思えないくらい柔らかくかつ甘みも強く宮廷料理の名に恥じないものでした。

 料理名についている「開水」というのは中国語で熱湯のことで、スープが水のように澄んでいるという意味です。つまり名前にしろ見た目にしろお湯の中に白菜が浮かんでいるだけに見えて、なおかつ奥深い味わいがあるという訳でこれを考案した料理人の遊び心のようなものさえ感じられます。

 白菜の薬膳的な効用としては性味が「甘平」で「養胃利水」「消食下気」となっており、胃の消化を助けおなかの張りや便秘にも有効でむくみにも効果があるとされています。また、変わった使い方としては漆にかぶれたときに新鮮な白菜の絞り汁を患部に塗ると良いといわれています。

 この冬、ご家庭でお鍋をするときなど白菜の芯を姿のままちょっと長めにゆでてお召し上がり下さい。宮廷料理の味がするはずです。

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