昨日に引き続き、上海蟹シリーズです。
この料理は上海蟹のかにみそと蟹肉をオレンジに詰めて、お塩とお酢だけで味付けし、蒸し上げたものでいかにもヌーベルシノワといった感じの一品です。
ただしこの料理、意外にも原典は宋の時代の料理書「山家清供」に記されている、柚をくりぬいてかにみそと蟹肉を詰め、お酒とお酢の入った水で蒸し上げるという料理だそうです。
これから冬にかけては柑橘類、とくにみかんの季節ですが、みかんの薬膳的効用としては「開胃理気・潤肺生津」となっており、消化を助け肺に潤いを与える効果があるとされています。ただし、性質的には「涼性」ですのであまり食べ過ぎるとおなかを冷やします。
漢方の世界ではみかんの皮を乾燥させたものを「陳皮」とよび、これは温性で「気」の流れを良くしたり胃腸の働きをよくする効果があるとされています。
中国では各家庭でみかんを食べるときは、きれいに皮をむきベランダなどで干して自家製の陳皮を作ったり、廃品回収よろしくリヤカーをひいて各家庭から干したみかんの皮を回収して歩く業者などがいて冬の風物詩になっています。
ちなみに「陳皮」という名前は古ければ古いほど値打ちがあるという意味(陳旧の陳)からきており、実際真っ黒になるくらいまで古くなった陳皮は値段も高く、煎じたり料理に使ったりするとえもいわれぬ良い香りがします。陳皮を使った料理としては上海料理の白玉入りの小豆のお汁粉などが有名です。