一見、普通の麻婆豆腐ですが、豆腐だけでなく羊の脳が入ってます。
羊や豚の脳みそは火鍋の具材などにも使われますが、食感としては柔らかい絹ごし豆腐や魚の白子のような感じです。もともと新鮮な状態でないと使えない部位ですので、臭みもありません。
さて、日本人にはグロテスクにも思える“脳みそ”ですが、薬膳的な発想からすると、脳は“髄海”といって髄の集まりであり、髄は生命の根源物質ともいえる“精”から生じるものなので、正に“精のつく食べ物”ということになります。
特に“冬令進補”といいますが、寒くなる冬の時期には精を補う食材を積極的に摂るとよいとされています。これは、人体の熱エネルギーの源泉である“命門の火”が、精を燃料として燃えているようなものだからです。人間は恒温動物ですので、気温が低下するとともに命門の火の元になる精を多く含む食材や生薬(代表的なものに鹿茸)を補うという発想です。
現代社会では冬でも暖房が行き届いていて、つい夏と同じように冷たいものを平気で摂りがちですが、気温が下がってくるとすぐにカゼを引くというような方は、せめて温かいものだけを口にするように心がけるだけでも体調がよくなるはずです。