新鮮な秋刀魚を湯葉(中国語で“腐皮”)で巻いてから軽く燻製(身は殆ど生の状態)にした前菜です。
秋刀魚には血液サラサラ成分のEPAや脳の健康に良いとされるDHAなどのほか、抗酸化作用のあるセレンなどのほかカリウムやカルシウム、ビタミン類なども豊富に含まれており、正に泳ぐ健康食品のようなイメージがあります。焼くとEPAやDHAなどは脂肪と共に失われてしまいますので、これらの栄養素を損なわないためにも、こういった調理法は優れているといえます。
さて、日本は海に囲まれており、近海のイワシやアジ、サバなども豊富で、日本人の長寿の一因に魚の消費量が多いことが挙げられていますが、国民一人あたりの魚介類の消費量は減少し続けており、平成18年には肉類の消費量が魚介類の消費量を上回りました。水産庁の調査によると、特に若い世代での魚離れが進んでいるそうで、理由としては「骨があるから」とか「食べるのが面倒」「食べるのに時間がかかる」といったところが上位3つの魚が嫌いな理由となっています。回転寿司などのマグロやサーモンは子どもに人気がありますが、普通の魚は調理も面倒なら、食べるのも面倒だということのようです。
まあ、皮を剥くのが面倒なので若者を中心にみかん離れがおきているという話を昨年聞いた事から考えると、魚離れの理由も分かるような気がしますが、豊かさの裏返しのようにも思える反面、食べ物がどんどん“エサ”に近づいているような気もします。