杏仁(きょうにん)はアンズの種で、独特の芳香があり、漢方では咳止めの要薬として用いられます。
食用としては日本では杏仁豆腐の方が有名ですが、もともとは中国でも寒くて空気の乾燥した北方で杏の種の渋皮を除いたものを粉砕して汁粉状にして飲まれていたものが、食用としての始まりです。
近年は、杏仁豆腐などの原料用に、甘みの強い品種(南杏)が栽培されていますが、独特の香りは北方で昔から栽培されている品種(北杏)の方が強く、薬用としても北方のものが用いられています。ちなみに杏仁の粉末をアーモンドパウダーと呼ぶことがありますが、アーモンドと姿形が似ているだけでアーモンド=杏仁ではありません。
尚、杏仁は咳止め以外にも種子類の生薬の多くがそうであるように便通を良くする作用も知られています。