栗と白菜のスープです。白菜は、これから寒くなるにつれて甘みが増していきますが、写真は白菜の芯の部分だけが使われています。
白菜は外側の葉っぱが緑色をしており、芯に近くなるほど白く、野菜=緑という概念で見ると、芯の部分ほど値打ちがなさそうですが、薬膳的には生長点に近い部分ほど生命力が旺盛で価値があるとされており、白菜の芯のスープは宮廷料理にも採用されています。
薬膳的な発想では、人間は食べ物から血や精といった物質の原料となる栄養分のほか、気のエネルギーも取り込んでいるとされており、生命力に溢れる部位ほど気のエネルギーを増強してくれるものと考えます。
漢方では気とは人体の機能が発現する元になるものと考えら、現代栄養学的に言えば、抗酸化作用のある物質や人体の代謝が円滑に進むために必要なビタミンやミネラルといった物質を食べ物から得ることは、人体の機能が正常に働くことにつながり、こういったことを見かけ上、食べ物から気をいただくという概念で捉えているわけです。
こういった考え方は、西洋でも同じで、フランス料理のジビエなども、冬の寒い時期に野生の生命力に溢れた食材を摂ることが人間の生命力を高めることにつながるという発想が根底にあるはずです。
ビタミンやミネラルをサプリメントで摂れば同じ事ではないかとも言われそうですが、一つの食材に含まれる成分は数千種類以上もあって、単純にビタミンやミネラルだけの問題ではありません。また、栄養素は消化と吸収が円滑に行われる必要もあれば、同時に摂った他の成分の影響で吸収されなかったりもしますので、そう単純な話ではありません。