パオツァイ(泡菜)とは野菜に含まれる乳酸菌で自然発酵させた四川料理の漬け物というか、ピクルスのようなものです(写真はパプリカ、スイカ、セロリ)。
ところでピクルスにしても日本の漬け物にしても、本来は塩漬けにした野菜を乳酸発酵させた発酵食品でしたが、現在では安易に酢などに化学調味料を加えた薬液に漬けただけのものが主流となっており、謂わば“化学薬品に漬けた”だけの“漬け物”が幅をきかせています(酢そのものも本来は発酵食品ですが、加工食品には化学合成された酢もよく使われています・・・)。
見た目も味も同じようなものですので、漬け物=発酵食品と思いこんでいる人も多いと思いますが、薬液に漬けただけの発酵食品ではない漬け物には腸内細菌バランスの改善効果は殆ど期待できません。また、そういった商品に多く含まれる保存料と呼ばれる食品添加物は、言葉をかえれば細菌の増殖を抑制する薬品で、当然ながら腸内細菌にも悪影響を及ぼします。
さて、泡菜やぬか漬けのような発酵食品の最大の効用は、腸内細菌バランスを改善することです。腸内細菌バランスの改善というと便通の改善というイメージが強いかもしれませんが、腸内細菌の役割は栄養素の消化吸収のみならず、ビタミンやホルモン、神経伝達物質などの生理的に重要な物質の合成に関わっているほか免疫にも大きく関わっています。