なにやら得体の知れない形をしていますが、鴨の舌です。
中国語でもそのまんま“鴨舌”と書き、中国では水かきと共に珍しい食材ではありませんが、最近は日本の中華界でも静かなブームになっている食材です。
日本で舌と言えば牛タンが思い起こされますが、牛や豚の舌と違って鴨の舌は中に薄い骨が入っており、ほ乳類とは舌の構造そのものが違うようです。お味は、牛タンというよりも鶏の砂肝を薄くのばした感じで、見た目の割には可食部は少ないです。
ところで、漢方の世界では人間のからだの状態は舌にあらわれるとされ、舌の血色や苔の付き方を重視します(→「舌診とは」参照)。舌は、基本的には五臓六腑の「心」とつながりが深いとされ、また、様々な経絡が舌とつながりを持っているため全身の状態を反映しやすく、漢方では体質や疾患を推し量る上で舌の状態を重要視します。
現代医学でも歯周病など、口腔内の細菌の数や種類によっては、インフルエンザに罹患しやすくなるとか、糖尿病や心筋梗塞、潰瘍性大腸炎の発症率が高くなると言われており、将来的にはこういったデータと舌の状態(特に舌の上の苔の状態:口腔中の細菌と関連性があるとされている)の相関性などが明らかになっていくかもしれません。