江蘇省の揚州といえば、日本では揚州炒飯が有名ですが、鶏湯ベースに干し豆腐と野菜を細く切ったものが入った煮干絲(ヂゥウガンスゥ)も揚州料理の名菜です。
干し豆腐(中国語では豆腐干)とは押し豆腐とも呼ばれますが、堅めに作った豆腐を更に圧縮して水分を除いたもので、煮込む前の状態は乾麺のようなものですが、煮込むとスープの旨みを吸い込んで柔らかくなります。
中国では、湯葉、豆腐(日本の木綿豆腐よりも堅めのもの)、更に押し豆腐に布豆腐(百頁)から腐乳(豆腐に麹菌を作用させて発酵させたもの)まで様々な豆腐が日常的に食べられています。日本でも昔は押し豆腐や布豆腐は食べられていたようですが、現代では豆腐そのものが工場で“近代的な手法”で製造されているために、押し豆腐や布豆腐などがすたれていったものと思われます。
因みに伝統的な製法で作られた豆腐と脱脂大豆粉末に化学薬品を加えて作られる豆腐では、薬膳的というか食品として考えても、見た目は同じでも殆ど別のものと言っても過言ではないほどの差があります。