中国では古くより立夏には、魔よけの意味で、よもぎの葉を人の形にして家の軒に飾る風習がありました。
よもぎの独特の清々しい香りが邪を祓うと考えられたものと思います。香りは目には見えなくても、何らかのパワーを感じさせるもので、特に良い香りは、やはり目には見えない邪気に対抗すると考えられていました(日本でお馴染みの“くすだま”も、漢字で書けば“薬玉”で、元をたどれば香りの良い生薬を丸い容器に入れて軒につるしておくものでした)。
今風に解釈すればアロマテラピーというか、香りによるリラクゼーション効果で、邪気=精神的なストレスを発散させる効果があると考えられます。
さて、よもぎは乾燥させたものは艾葉(がいよう)と呼ばれ、主として下半身を温める作用がある生薬として用いられるほか、字の通りもぐさ(艾)の原料でもあり、東洋医学とは切っても切れない薬草といえます。