カツオを茹でてからスモークし、カビをつけて徹底的に乾燥させると、世界一堅い食べ物である鰹節になりますが、写真は、新鮮なカツオを軽くスモークした前菜です。
ところで、鰹節で出汁をとっても、動物性の素材であるにもかかわらず、あぶらが浮いたり、濁ったりしませんが、これは鰹節の生成過程でカビによる発酵=蛋白分解酵素や脂肪分解酵素のはたらき=の結果、脂肪分やタンパク質がアミノ酸などに分解されているからです。
発酵食品の利点は多くありますが、栄養吸収の点から見てもこういった脂肪やタンパク質が分解されることは、人体にとっても消化吸収がスムーズにいくことになりますし、更に腸内細菌、特に善玉菌と呼ばれるような腸内細菌にも好影響を与え、このことが更に胃腸の機能や人間の免疫力を高めてくれます。
世界的に見て、日本の環境面での特徴は湿度が高いと言うことで、漢方的には“脾(胃腸)は湿を嫌う”という原則から、日本で生まれ育つと必然的に胃腸機能が低下しやすいとされています。また、湿度が高いことが多彩な発酵食品を産み出したともいえますが、発酵食品の胃腸機能を高める作用は、湿度の高い日本で生きていくためには欠かせない効能です(因みに、梅雨時や雨が続くとからだがだるい、むくみやすい、食欲がなくなるという方は、脾虚=胃腸機能低下がすすんでいるといえます)。