蕗(ふき)は、日本原産で独特の色と香り、ほのかな苦みが特徴です。
春は日に日に陽気が強まり、体内に余分な熱がこもりやすい季節ですが、苦みは薬膳的には余分な熱を冷ます作用があります。
更に、独特の芳香は気の流れをスムーズにする作用(抗ストレス作用)がありますので、気の流れが滞りやすい春には適した食材といえます。
それにしても今年は木の芽時の時期に、東日本大震災と原発問題が重なって、ストレス性の症状を強くうったえる方が多いように思います。
ストレスの影響を受けた場合、気の流れが乱れるのは共通ですが、人によって不安感が強くなるパターンと、焦る気持ちが強くなって、頭の中がいっぱいいっぱいになるパターンが見受けられます。いずれのパターンであれ、睡眠に影響が出てくるようだと長期化します。特に、寝入ることはできても眠りが浅い、一晩中夢ばかり見ている、夜中によく目が覚めるようなケースでは、成長ホルモンの分泌が低下して、精神的にも肉体的にも疲れがとれなくなります。
約2000年前に記された神農本草経には、何ものかに驚いて夜中によく目が覚めるのを治す効能がある生薬として、麝香、羚羊角、木香などが挙げられており、現代でもこれらの生薬を配合した処方がストレス性の睡眠障害に用いられていますが、今年はこういった処方が適合する方が確かに多いです。