中国の伝統的な手法で作られたもので、エビチリといえばエビチリですが、ケチャップもチリソースも使われていません(ソースが赤く見えるのは、エビミソと豆板醤の色です)。
エビやカニなどは加熱すると赤くなりますが、これはアスタキサンチンという色素によるものです。また、唐辛子の赤い色もアスタキサンチンと同じくカロテノイド系色素で、共に強い抗酸化力があります。
日本のおせち料理でもエビは腰が曲がるまでの長寿を願う縁起物として定番の素材ですが、薬膳的にも補腎作用=老化予防効果があるとされています。漢方では、五臓六腑の“腎”は人間の老化に深く関与しているとされていますが、近年、日本の大学の研究で腎臓から老化保護因子が分泌されていることが確かめられ、主に血管の内皮細胞を保護する~動脈硬化を予防する働きがあることがわかっています。腎機能の善し悪しによって、老化の進行が影響を受けることが西洋医学的にも証明されているわけです。
さて、そういった意味で補腎作用のある食べものを見た場合、栄養的な滋養効果が高いものとともに、アントシアニン色素を含む黒い色をした食品に補腎作用があるとされるものが多いことに気付かされます。「人は血管とともに老いる」と言われますが、血管の老化を防ぐ抗酸化物質を摂ることが老化予防につながるということを先人の知恵は見抜いていたようです。