上海蟹といえば姿蒸しを連想しますが、実際はミソや身をほぐしたものを取り置いて様々な料理に応用されます(上海蟹のミソの部分だけを蟹黄:シエファン、身の部分を蟹粉:シエフェンと呼びます)。
写真は上海蟹のカニミソ(蟹黄)入りの肉団子を白玉粉でくるんだものが入ったスープです。肉団子やカニミソの汁がスープににじみ出さないので見た目も美しい一品です。
カニミソはオスであれ、メスであれ、薬膳的には“精を補う”作用があると考えられ、それゆえ根強い人気があるものと思われます。また、人間の味覚もそういった生命力を養う作用のあるものについてはおいしいと感じるようにできているのではないかと思います。
別の観点からは、化学調味料や食品加工技術が異様に発達した現代からは想像しにくいですが、カニミソのように柔らかく、噛む必要もなくおいしさを感じられるというのは、昔は他に例を見ない食材であったと思われます。